貸借対照表と損益計算書のカタチ+仕訳の5パターンで、財務諸表が読めるキソづくり
財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の構造と、簿記(経理)の仕訳5パターンを見ていきましょう。
ガチガチに頭に入れる必要はありません。
山梨県中央市の税理士、田中です。
大事なのは基本。
キソがしっかりしていれば、上も揺らぎません。
タナカ
貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の形を覚える
貸借対照表と、損益計算書。
まずは理屈ぬきに、形から入ってみましょう。
貸借対照表
「負債」(借り入れ)と「純資産」(株主の出資・過去の会社のもうけ)を元手に、会社は「資産」を買っています。
負債・純資産が元手ですから、
資産=負債+純資産
となるハズです。(なります。)
なぜ「資産」は左(借方)で、「負債」「純資産」は右(貸方)なのか。
わたしにも分かりません。
そういうもんだ、と、思ってください。
損益計算書
収入から費用を引けば、利益が計算できます。
↓これは損益計算書ではなく、T勘定(ティーカンジョウ)で表したもの。
損益計算書は、売上高からはじまって、当期純利益で終わります。
ただ、簿記の考えかたを理解するには、このT勘定が分かりやすいです。
収益ー費用=利益
ですから、
収益=費用+利益
です。(当たり前すぎますね。。)
なので、上のT勘定の 右側・左側 それぞれの金額は同額になります。
こちらも、「なぜ収益が右なんだ?」と考えないでください。
ただ、収益が右(貸方)なら、費用は反対側(左側・借方)である必要があります。(差し引きで利益を計算するため。)
貸借対照表の「資産」も、収益の反対側(左側・借方)である必要があります。
このあたりの理屈は、だんだんと分かってきます。
今は、「ルールだから」ということで、あきらめていただければと。
「仕訳け」のパターン。たったの5つ
簿記の仕訳けは、5パターンです。
↓貸借対照表に載ってくる項目と、
借方 | 貸方 |
資産の増加(+) | 資産の減少(-) |
負債の減少(-) | 負債の増加(+) |
純資産の減少(ー) | 純資産の増加(+) |
↓損益計算書に載ってくる項目に分けることができます。
借方 | 貸方 |
費用(経費)の増加(+) | 費用(経費)の減少(-) |
収益(売上)の増加(-) | 収益(売上)の増加(+) |
ガッツリ暗記する必要はありません。
上の「貸借対照表」と「損益計算書(T勘定)」の図と、ちょっとだけ見比べていただければ。
短時間でマスターしようとせず、長い目で、
- 財務諸表が読めるようになりたい
- 数字が分かるようになりたい
と考えていきましょう。
複式簿記の2面性
5つのパターンは、複式簿記の考えかたです。
借方項目が動いた原因が、貸方項目にあらわれ、
貸方項目が動いた原因が、借方項目にあらわれます。
【例】
100円の商品(サービス)を売って、現金で回収した。
仕訳を書くと、こうなります。
現金 100/売上 100
複式簿記の処理は、こうなります。
- 現金は資産・この例では増加
→借方(左側)に書きます。 - 売上は収益・この例では増加
→貸方(右側)に書きます。
「現金」と「売上」、それぞれから眺めてみましょう。
- 現金が100円増えた。それは売上100円のおかげ。
- 100円売上げた(売上が100円増加した)。現金が100円増えた。
これが「2面性」です。
「借方」が単独で増える、「貸方」が単独で増える ということは有り得ません。
売掛金・買掛金。ツケの経理
ツケの経理で、資産の増加・減少を見ていきましょう。
100円の売上げ、お金の回収は後日。
↓仕訳はこうなります。
売掛金100 売上100
↓後日、100円を支払ってもらいました。
現金100 売掛金100
「売掛金」に注目すると、最初に「売掛金」という資産が増加(借方)しています。
100円支払ってもらって、「売掛金」が減少(貸方)→消滅します。
かわりに、「現金」という資産が増加(借方)となります。
これが「買掛金」になると、↓こうなります。
- 仕入100 買掛金100
- 買掛金100 現金100
1・2で買掛金は消滅。
トータルで見ると、仕入という経費が増え・現金という資産が減った と見ることができます。
トータルで見ると買掛金は0ですが、期(年)をまたいだ場合は、貸借対照表に載ることになります。
またがなくても時差はありますし、取り引きの実態を仕訳に反映させるためにも、省略しないようにしましょう。
クラウド会計で経理を自動化するにしても、この記事の考え方は知っておいた方がいいです。
「クレジットカード払い→銀行からの引き落とし」は、買掛金の考えかたそのものですから。
タナカ