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消費税インボイス導入後の下取価格はどうなる。経過措置も解説。

 
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田中まさき

2023年(平成35年)10月1日より、消費税のインボイス制度が始まる予定になっています。
一般消費者も絡めて「インボイス」をながめてみました。

 

山梨県中央市の税理士、田中です。
「ゲ○」「中古車業者」はあくまで例として使っています。
特定の会社・業種に限った話しではありません。

タナカ

 

インボイス導入前(現在)→誰から買っても仕入税額控除OK

消費者が買い物をしたときに支払っている消費税。
これって一体、誰が国に渡しているのでしょうか。

え? バカにするな、ですか?
そうですね。

  • 消費税を納める義務があるとされる会社
  • 消費税を納める義務があるとされる個人事業主

ですね。
商品を売ったり、サービスを提供している人(会社)が消費税を預かり、国に納めています。

ところで「納める金額」は、消費者から預かった消費税の金額をそのまま納めているワケではありません。
会社や個人事業主だってモノを買ったり、サービスを利用して消費税を支払っていますね。
そういった「支払った消費税」は、消費者から預かった消費税から、差し引くことができます。

国に納める消費税=預かった消費税ー支払った消費税

という格好ですね。

 

消費者から買い取ったモノでも消費税を引ける

上の「支払った消費税」は、相手が誰だろうと(誰に支払おうと)関係ありません。
支払った先が「国に消費税を納める人(会社)」じゃなくても、差し引けてしまいます。

つまり、↓こんな支払いでも引けてしまうのです。

  • ゲ○が小学生から買い取ったゲームソフトの代金
  • 中古車業者がサラリーマンから買い取った乗用車の代金

この代金の「108分の8」が引けるのです。
(2019年9月までは8%の予定なので「108分の8」。2023年9月までは「110分の10」。)

これが国としては見過ごせない問題点でございまして。
「小学生」や「サラリーマン」は個人ですが、個人事業主ではありません。
つまり、消費税を(直接は)国に渡さない人たちです。

消費税を納めない相手に支払った消費税なのに、買い手である「ゲ○」や「中古車業者」は差し引けてしまう。
差し引けた消費税は、ゲ○・中古車業者 のフトコロに入ります。

この例のような
「うーむ、ソレってどうなの?」
が、インボイス制度では解消されます。

 

本当のホントーに細かいハナシ(難しい話し)

実際「108分の8」を使って計算は行いません。
「108分の6.3」を使って計算を行います。
これは「8」の中に地方消費税「1.7」が含まれているから。

ツッコミたくなる方もいると思ったので、いちおう書いておきます。
(スルーして頂いて結構です。)

 

 

【インボイス導入後】一般消費者から買いとり→仕入税額控除はダメ

さて上記の問題点。インボイス制度導入後はどうなるのでしょうか。
結論から書きますと、「ゲ○」や「中古車業者」は、買取金額×10/110 の金額を差し引くことができなくなります。

【注】2023年は消費税率10%のハズですので「×10/110」です。

 

「小学生」や「サラリーマン」が↓こんな人でない限り、差し引けないからです。

  • 消費税の申告書を税務署に提出し、納税している
  • 一定の登録申請をしている

逆にいえば、↑こんな人 からの買い取り(仕入れなど)であれば、ゲ○や中古車業者 は差し引くことができるワケです。

 

ちょっと通になれる用語「免税事業者」

小学生やサラリーマンは事業者ではありません。
しかし、事業者がすべて「消費税を国に納める事業者」でもありません。

これを区別するため、と言ったらいいのでしょうか。
消費税を国に納める義務のない事業者のことを「免税事業者」と呼びます。

インボイス導入後は、

  • 免税事業者からの仕入れ(買い物)
  • 免税事業者にしたアウトソーシング(外注)

は、消費税を差し引くことができない。
というワケですね。

 

 

インボイス経過措置で、しばらくはダイジョウブ?

2023年10月(平成35年10月)からイキナリこんなことになるの?
と思う方もいらっしゃるでしょう。

イキナリであるからこそ、国は早めの告知をしていると取ることもできます。
そして実は、免税事業者からの買い物も、イキナリのシャットアウトとはなりません。

免税事業者からの課税仕入れについては、
適格請求書等保存方式の導入後3年間は仕入税額相当額の80%、
その後の3年間は同50%の控除ができる。

 

2026年9月までは8割(10/110 ×8割)差し引いていいよ、
2029年9月までは5割(10/110 ×5割)差し引いていいよ、
ということなのです。

 

 

一般消費者から見たインボイス

消費税を国に納める会社や個人事業主は、インボイス制度が始まると、差し引ける消費税の幅が狭くなります。
ということは、納める消費税が増えやすくなると言えそうです。

消費税を納めている会社(あるいは個人事業主)から買い物をしたり、サービスを受けている分には良いのですが、
一般消費者から買い取ったものは消費税が差し引けなくなってしまう。
(→幅が狭くなっていますね。)

そうなると、

  • ゲ○のゲームソフトやスマホの下取り金額
  • サラリーマンの車の買替え時の、古い車の下取り金額

などは、シブくなる可能性が出てきます。
(差し引けない分、買取価格に反映させたくないから。)

経過措置があるため、本格的にシブくなるまで少しは猶予があるとも言えそうですが。

 

 

免税事業者から見たインボイス

経過措置があるとはいえ、得意先からシブられる可能性が出てきます。
「オタクさんは免税事業者だよね? 社長が困ったって言ってるんだよ…」
なんてことになるかも。。

今後は自ら「課税事業者」を選択し、インボイスの登録申請を選択せざるを得ない。。
そういう時代がやってくるかも知れません。
(いや、来ますね…。)

 

 

税理士目線のインボイス(ちょっと難しいブロックです。)

インボイス制度が始まると、
「給料なの?」「外注費なの?」
というヤヤコシイ問題が解消します。
(ぜんぶ解消には至らなくても、かなり。)

免税事業者への支払いは差し引けなくなりますからね。
本来は給料とすべきところ、外注費として消費税をおさえる手法が使いにくくなるでしょう。
(それでも2029年9月までは使うのでしょうが。怒られない限り。。)

めちゃくちゃ複雑怪奇な「納税義務の判定」についても、インボイス導入でシンプルになる可能性があります。
と言いますか、免税事業者のメリットがかなり薄くなりますから、シンプルにしなかったらセンスを疑いますよ。。

と最後に、生意気に申し添えたところで終わりにします。

 

山梨県の税理士:田中雅樹(書いている人)

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