消費税・任意の中間申告とは。やる・やめるの届け出/みなしヤメル/納付まで
消費税をたくさん納めている事業者には「消費税の中間申告」という制度があります。
少しだけ納めている事業者にはナシ。
中間申告の義務がない事業者からは、
「1年分まとめて納めるのはキツイ」
「預かりと分かっていても使っちまうぞ」
という声も。
中間申告(納付)の義務がナイ事業者向けの制度が、任意の中間申告です。
山梨県中央市の税理士、田中です。
たとえ任意であっても、申告書の提出まですると納付は必須。
届出書と申告書がごっちゃにならないよう、ご注意を。
タナカ
消費税の中間申告とは
消費税の確定申告書の年税額が48万円以上
→翌年(翌期)から 中間申告・中間納付 を行うこととなります。
「48万円」というのは、↓この赤ワク内の数字です。
この「48万円」は国税部分のみです。
地方消費税は除いた金額。
すでに納付した中間納付分があれば、その中間納付分を差し引く前の金額です。
(つまり赤ワク。)
中間申告の回数は、年に1回・3回・11回。
赤ワクの金額によりますが、この記事ではスルーします。
消費税の「任意の中間申告」とは
確定申告書の納付額(消費税の額)が48万円以下であっても中間納付をしたい。
という納税者の要望でできた制度です。
以下、個人事業者の場合を例に進めて参ります。
(法人の12月決算の場合も同じ。)
「消費税の任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出→申告書を提出→納付
流れは次のような感じです。
- 6月30日までに税務署に「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出
- 8月31日までに税務署に「任意の中間申告書」を提出
- 8月31日までに納付
つまり、
↓(ア)の期間中に「届出書」を提出、
↓(イ)の期間中に「申告書」を提出、
↑(イ)の期間中に、申告した金額を納付です。
「中間納付しておこう!」
と届出書を提出したワケですから、この流れになるのがふつう。
オーソドックスでしょう。
次からは、オーソドックスから外れたケースです。
「提出する旨の届出書」の提出→「任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書」の提出
任意の中間申告書は、提出をやめることもできます。
資金繰りがキビシクなることもあるでしょう。
- 6月30日までに「任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書」を提出
→その年の1月1日から6月30日までの「任意の中間申告」は無し - 7月1日以降に「取りやめ届出書」を提出
→翌年1月1日から6月30日までの「任意の中間申告」が無くなります。
図で見ていきましょう。
「提出する旨の届出書」の提出(6/30までに提出)のあと、
- (ア)の期間中に「取りやめ届出書」
→今年の中間申告はナシ - (イ)の期間中に「取りやめ届出書」
→来年の中間申告はナシ
となります。
提出する旨の届出書→中間申告書の提出なし
- 「提出する旨の届出書」の提出をして、中間申告書を8月31日までに提出しなかった
→「取りやめ届出書」の提出があったものとみなされます。
もともと中間申告の義務がないところ、率先的に納めようとしたわけですから。
特に罰則はないよ、といったところでしょうか。
図を使ってもう一度。
↓(ア)の期間中に「提出する旨の届出書」を提出。
↓その後(イ)の期間中に中間申告書を提出せず。
→今年の中間申告はナシ ってことになります。
次回以降(翌年以降)任意の中間申告・納付をしたくなったら、再度、「提出する旨の届出書」を提出しましょう。
提出する旨の届出→中間申告書提出→納付ナシ
6月30日までに「提出する旨の届出書」を提出して、
8月31日までに中間申告書の提出をして、
8月31日までに納付をしない。
→NGです。
延滞税取られちゃいます。
1日もはやく納付しましょう。
申告書は、資金繰りに不安があったら出さない!
(任意の中間申告に限ったハナシですよ。)
提出する旨の届出書→中間申告書の提出が9月→納付も9月
- 中間申告書の提出が8月までにされていない
→「取りやめ届出書」の提出があったものとみなされる
→納付があっても国は「?」
という流れで、納付は誤納付に。
納付した金額が戻ってきて終わりです。
申告書についても「無効ですよ」と、税務署から連絡が来るでしょうね。
【おまけ】免税期間を挟む→「提出する旨の届出書」の効力は続く
簡易課税制度と同じく、免税期間を挟んだとしても、「提出する旨の届出書」の効力は続行します。
「取りやめ届出書」のみなし適用がある分、大怪我することはないでしょうが。
仮決算の「任意の中間申告」もできる(ちょいムズな話し)
免税→課税 の場合、仮決算の中間申告となります。
課税→課税 でも、仮決算で「任意の中間申告」してもOK。
(このハナシは分からなくて問題ありません。)