3分でわかる。個人事業者と法人の家賃。高額な家賃の取り扱い。
家賃の話しです。
家賃は、
身内に支払ってしまうと必要経費にならなかったり、
社長自身の生活の住まいの家賃が必要経費になったり、
金額をテキトーに(利益操作目的などで)決めてしまうと経費(損金)にならなかったり。
いろんな顔を持つのが「家賃」です。
山梨県中央市の税理士、田中です。
まずはザックリつかみましょう。
細部はぶつかってからで十分です。
タナカ
個人事業者と法人の「家賃」
個人事業主が「個人事業主本人」または「生計を一とする親族」に支払った家賃は必要経費にできません。
逆に言えば、「自分」と「家族」以外に支払った家賃は必要経費となります。
法人が事務所などを借りた場合の家賃は損金になります。
支払った相手は誰でも(社長でも)オッケーです。
用語の意味
生計を一(いつ)とする親族とは
生活のサイフが一緒の家族です。
離れた場所に住んでいる大学生の子など、同居していなくても、サイフが一緒であれば「生計が一」と言えます。
税金の話しをするときによく出てくる表現です。
覚えておきましょう。
損金
法人税法で使う用語で、「損金≒経費」です。
簿記の世界では経費でも、法人税では収入(益金)から引けないことも。
(→「法人税法上、損金にならない」なんて言ったりします。経費とちょっと違うということは、知っておいたほうが良いかもしれません。)
居住用の家賃。会社なら損金になる。
- 会社(法人)の場合で、
- 賃貸契約が会社の契約で、
- 役員や従業員がその賃貸住宅に住んでいて、
- 社宅として役員や従業員から一定の賃貸料を徴収している
→会社が支払った賃借料は法人の損金とすることができます。
個人事業はダメ
個人事業者は、支払い先を問わず、自宅の賃借料は必要経費になりません。
ただし、事務所兼自宅として借りている場合は、事務所部分だけ必要経費となります。
支払先は「個人事業主本人 & 生計を一とする親族」以外です。
「一定の賃貸料」は、ある一定の算式で求めることができます。
(この記事では省略。)
家賃は身内でも適正額で。高額だとめんどう
通常の賃料に比べて高額な家賃を支払っている。
→この場合、全額が賃借料になりません。
(一部「賃借料」、一部ほかの取り扱い。という感じです。)
安すぎてもオカシなことになりうるのですが、高いと(支払いすぎると)どうなるかを見てまいりましょう。
個人事業者
- ・生計が別の親族等が受け取った家賃→高額な部分に「贈与税」がかかる
・支払った側→高額な部分については必要経費にならない - ・「個人事業主本人」「生計が一の親族等」が受け取った家賃→賃料の支払い自体がなかったものとされる
・支払った側は全額について必要経費にならない
(上で紹介済みの、必要経費にならないケースと同じです。)
会社(法人)
- ・会社の「役員」「従業員」が受け取った家賃→高額な部分は「給与所得」
・支払った会社→高額な部分は「役員報酬」「給料手当」 - ・会社の役員や従業員ではない親族等が受け取った家賃→高額な部分は「一時所得」
・支払った会社→高額な部分は「寄付金」
「寄付金」とされてしまうと、ほとんど損金になりません。
「役員報酬」は定期同額給与を気にする必要が出てきます。
「役員報酬」「給料手当」は、源泉所得税を預かる必要があります。
面倒なことは避けるに限ります。
気をつけましょう。